東北ツーリング II
01|プロローグ
02|北海道~函館港~青森港
03|青森港~浅虫~沼宮内~盛岡~花巻~宮守
04|宮守~遠野~釜石駅
05|エピローグ
2010年8月25日(水) 4日目(26日目)
遠野幻想サイクリング。
0455起床。長い旅が終わろうとしています。
実際には、あっという間にここまで来たのですが。
現在地は岩手県遠野市の道の駅「みやもり」。
いつも通り、出発の準備を始めます。
0600、遠野へ向けて出発。
昨日と同じく、R283を進行します。
予報では曇り&にわか雨となっていましたが、今のところ快晴。
8月中旬に道東で雨に遭って以来、ずっとこんな調子で晴天に恵まれてきました。
これほど晴れ続きの旅は珍しい。
長い行程を経てここまでやってきたのだから、
この程度の上りは何の苦にもなりません。
やっぱり北海道補正ですね。
0710、道の駅「遠野 風の丘」に到着。ちょっと休憩。
「とうわ」及び「みやもり」と異なり、付近にコンビニはありません。
自転車の場合、ここを拠点にするのは不便かも。
旅人のバイブル、『ツーリングマップル東北 2008年版』で以降のルートを確認。
これまでの旅で酷使してボロボロ。北海道と東北の地図は、特に愛着があります。
(詳細はナビゲーションのページを参照)
道の駅から数kmも走ると、遠野市街に入ります。
・・・なんというか、普通の街ですね。
0815、JR釜石線の遠野駅に到着。
出発から26日目、ここまで約2405kmの行程でした。
いざ来てみると、実にあっさり来れてあっけない感じ。
さて、そろそろ探訪モード。佐々木喜善氏が蒐集した遠野の民話を、
柳田國男氏が『遠野物語』として発表したのは明治43年(1910年)のこと。
今年、平成22年(2010年)は100周年記念ということで、色々なイベントがあるらしい。
案内所で地図を入手し、遠野を巡ります。
宿泊やレンタサイクル等が充実していますから、
泊りがけでじっくり探訪するのがオススメです。
『遠野物語』自体については、あまりにも有名だから説明不要でしょう。
東方的には、「妖々夢」の橙の元ネタ。遠野をぶらぶらするのが探訪といったところ。
「遠野幻想物語」が脳内で流れてきました。わくわく。
探訪開始。まずはR340で遠野郷八幡宮へ。
レンタサイクルを利用する観光客は多いです。
拝殿にて参拝。主祭神は誉田別尊。
大国主神、事代主神、少彦名神、御年神を配祀しています。
R340をのんびり走って伝承園方面へ。
レンタカーや観光バスも多いですが、追い越し方が雑で怖い。
危なっかしい運転は「わ」ナンバーの連中と決まっています。
こちらが伝承園。
道を走るのがメインで、観光施設はカット気味。
せっかくの探訪なのに写真が少なすぎる・・・
伝承園の駐車場で北海道帰りのライダーと談笑した後、南の常堅寺へ。
この奥に有名なカッパ淵がありますが、肝心なところで撮り忘れ。
「風神録」の河城にとりの元ネタと言えるでしょう。
R340の途中で地道に折れ、デンデラ野・水車小屋方面へ。
駅を出てから軽い上りが続きます。いい雰囲気の道。
デンデラ野に寄り道。
蓮台野とも呼ばれ、秘封倶楽部の「蓮台野夜行」の元ネタです。
現在では普通の農地になっているようでした。
北海道でお馴染みのアレ。
ロールベールサイレージとかロールベールラップサイロといいます。
牧草ロールをラップして発酵させ、サイレージにしているわけですね。
R35に乗ると、前方に六角牛山(1294m)が見えてきます。
早池峰山(1917m)、石上山(1038m)と共に、遠野三山として有名。
このままR35を直進すると、笛吹峠(867m)を越えて釜石の鵜住居に下ります。
こちらが六角牛神社。由緒等の詳細不明。
六角牛山への登山口になっており、余裕で熊が出ます。
では、遠野市街に戻って休憩させてもらいますよ。
1200、ファミリーマートで昼食を終えて遠野市街を離れます。
今回は遠野に辿り着くことだけを目的にしていたので、短い滞在でした。
『遠野物語』や遠野三山を補完するため、また訪れることになるでしょう。
再びR283に乗り換えて、仙人峠(887m)の北に位置する仙人トンネルへ。
意外と緩い山道を上り、仙人トンネルを目指します。
この辺りには岩手軽便鉄道の遺構もありました。
1310、遠野市と釜石市の境界となる仙人トンネル。
交通量は皆無で、緩い上りと合わせて快適なルートです。
仙人トンネルは昭和34年(1959年)に開通し、遠野~釜石の主要ルートとして使用されました。
平成19年(2007年)、仙人峠の南に自動車用の仙人峠道路が開通するまでは、
交通量の非常に多い危険なルートだったようです。
仙人トンネルを抜けて釜石市に入りました。
道の雰囲気は、遠野側の緩くのんびりした感じから一変。
釜石側は急勾配が約5kmも続く、超ダイナミックなルートです。
ループ、連続ヘアピンカーブ、所々に設置された緊急待避所などを堪能しつつ、
釜石市街を目指して急降下。停まるのが勿体無いから写真少なめ。
昨年の計画では、無謀にもこの道を上るつもりでした。
STIレバーが折れていなくても、心が折れてリタイアしていたと思う。
甲子町まで下りてきました。
まもなく釜石市街、そして曇り空。
1420、とうとうJR釜石駅に到着。
624kmで止まった東北ツーリングと合流しました。
あれから1年、色んな意味で長い道のりだったと思います。
釜石線と山田線、三陸鉄道南リアス線が乗り入れる釜石駅。
記念写真を撮って軒下に入った瞬間、突然の雨!
実に素晴らしいタイミングですが、旅はまだ終わっていません。
今回の旅の、釜石まで来た本当の目的を果たすため、
雨が上がるのを待って釜石消防署に向かいます。
昨年、釜石で立ち往生した私に声をかけ、
自転車や荷物を送り返すのを手伝ってくれたのは釜石消防署に勤めるK氏でした。
今回のツーリングの本当の目的は、K氏に再会することだったのです。
K氏との再会を果たし、本ツーリングの目的を完全に達成。
1530、駅前で装備をまとめ、自宅に送り返す作業に着手。
本日の走行距離は約87km。
総合走行距離は北海道の2134.5kmと東北の332.6kmで合計約2467.1km。
今回も多くの人々に助けられ、無事に行程を終えることが出来ました。
※翌年、2011年3月11日に発生した東日本大震災の大津波により、
釜石は甚大な被害を受けました。犠牲者のご冥福をお祈りするとともに、
ここでお世話になった人々の無事を願います。
長い道のりを共に越えてきた相棒。
この旅から戻ったら、オーバーホールが必要です。
パッキング完了。
昨年と同じように佐川急便で送り返します。
甲子町の営業所に電話して引き取りに来てもらい、その場で伝票を貰って記入。
ドライバーの対応がとても丁寧で、自転車の扱いも良く好印象でした。
但し、地域によって対応が異なるので注意が必要です。
全ての行程と作業が終わり、「釜石ステーションホテル」にIN。
恒例の一人宴会を開催し、明日からの帰路に備えます。
2010年8月26日(木) 5日目(27日目)
帰路。
JR釜石駅から撤収。
普通列車で兵庫県の最寄駅まで20時間もかかるため、
今日は宇都宮で泊まります。新幹線や特急を使うよりも安い。
約7時間の移動を終え、宇都宮のビジネスホテルにIN。
段階的に、元の生活に戻っていくのでした。
2010年8月27日(金) 6日目(28日目)
長い旅の終わり。
自宅に帰り着いたのは2100のこと。
28日間に及ぶ長旅は、こうして幕を閉じました。
次ページ、旅のまとめで終わります。