2022-02-05 改訂
2014-07-20~2019-07-21 実施
緋色、本宮、晴模様。アニメ「いなり、こんこん、恋いろは。」の舞台探訪企画。本宮祭で大いに賑わう山城国深草の伏見稲荷大社を訪れました。
伏見稲荷駅~表参道~神幸道~楼門~外拝殿~内拝殿~鳥居~奥社奉拝所~四ツ辻~展望地~一ノ峰
「伏見稲荷大社探訪」の概要|探訪活動に用いるカメラ|鎮座1250年記念の本宮祭
2014年7月20日。1659、京阪本線の伏見稲荷駅にて下車。改札を出ると、既にお祭りの雰囲気でした。
本記事は2014年1~3月に放送された、よしだもろへ氏原作のアニメ「いなり、こんこん、恋いろは。」(略称は「いなこん」)の舞台探訪を主題として作成。稲荷山に鎮座する伏見稲荷大社を徹底的に探究し、伊奈利山の社と信仰の成り立ちを紹介する「伏見稲荷大社探訪 V」の続編です。今回は長大な歴史探訪の話題は控え、本宮祭の模様を鮮やかな写真とともにお送りします。稲荷社の由緒は前回の記事を参照してください。伏見稲荷のあらゆる要素を扱っています。
探訪のメインカメラは工事現場用のコンデジ。RICOH G600→WG-6と更新しています。夜間撮影にはズーム機能を損傷したPanasonic LUMIX DMC-FZ8を活用しました。後年には印象的な写真を撮るためにフィルム式の一眼レフカメラを多用。オートフォーカスのMINOLTA α-8700iとリバーサルのFUJIFILM Velvia 100を使用しています。Velviaは極めて鮮やかな色合いが特徴のフィルム。実際の風景より赤の発色が強く写ります。
早速、伏見稲荷大社へ。表参道の一の鳥居から楼門に向かいます。
ここは京都府京都市伏見区の深草。歴史的な行政区分は山城国紀伊郡深草郷であり、渡来氏族の秦氏が暮らした地として知られます。伊奈利社(伏見稲荷)は奈良時代初期の和銅4年(711年)、秦氏によって創建されたと伝わり、社とし ての歴史は1300年以上。稲荷山の信仰自体はそれ以前から存在します。
稲荷山(233.8m)の地形図。東山三十六峰の南端に位置し、京阪伏見稲荷駅またはJR稲荷駅でアクセス可能です。伏見稲荷大社の本殿は稲荷山西麓に鎮座。そこから奥社奉拝所を経て中腹の四ツ辻に登り、更に登って三ヶ峰を巡拝します。本殿と三ヶ峰の位置関係だけ大まかに把握しておいて、境内に設置されている案内図を見ながら歩くといいでしょう。
献納提灯が並ぶ表参道。本日、7月20日は伏見稲荷大社の本宮祭です。浴衣+狐面の姿が人気のようで、合わせが逆の幽霊もちらほら。午後に天気雨…狐の嫁入りがあって路面が湿っています。既に雨は上がり爽やかな晴模様。気温は28℃前後です。
本宮祭は全国の崇敬者が伏見稲荷に参詣して稲荷大神に感謝する大祭。昭和36年(1961年)に鎮座1250年を記念して始められました。参道から境内にかけて沢山の献納提灯が設置され、いつもの伏見稲荷より赤い特別な雰囲気を楽しめます。「いなこん」4話で描かれたのは本宮祭前夜となる宵宮祭。献納提灯に点灯する万灯神事があり、点灯自体は本宮祭と同じです。
2018年7月22日。リバーサルフィルムで表参道を撮りました。青空と朱塗りの鳥居が美しいです。
楼門をくぐる前に神幸道へ。2~3枚目は2018年7月22日。4年前より明らかに人が増えました。
表参道の北側に位置する神幸道。「いなこん」とのタイアップも健在で、京阪電車の各駅に設置されていた番宣用のパネルがありました。当然のようにアベックのいなりちゃんと丹波橋くん。そして楼門に鎮座されているはずのうか様。こっちのパネルは分霊かな……
マルちゃん、京子ちゃん、墨染さんも並んでいました。今日は「いなこん」の探訪者をよく見かけます。この参道、作中でも四人が並んで歩いていましたね。墨染さんかわいいな~
2014年7月20日と2018年7月22日。平安時代や江戸時代の稲荷詣も同じぐらい混雑したでしょう。
神幸道を抜けて表参道の楼門へ。全国から大勢の参拝者が訪れ、普段より賑わってます。
稲荷山の西麓に建つ荘厳な楼門。大きな献燈が掲げられています。うか様のパネルは健在。「いなこん」を知らなさそうな参拝者にも大人気です。やっぱり神幸道のうか様は分霊やったんや。
2018年7月22日。熱気に満ちた楼門前。お祭りは賑やかなほうがいいです。
2018年7月22日。楼門は安土桃山時代の天正17年(1589年)に再建されました。稲荷社の朱色は稲荷大神の神徳を象徴する神聖な色。伏見稲荷にふさわしいVelviaの発色に満足しています。
楼門をくぐると外拝殿。崇敬者により奉納された行灯画が並びます。これも作中でしっかり再現。4話の描写は特に気合が入ってましたね。
2018年7月22日。伏見稲荷は全国の稲荷神社の総本社で、稲荷信仰の中心となる聖地。五穀豊穣や商売繁盛の神様として庶民から絶大な信仰を集めています。実に鮮やかな風景です。
本殿中央の下社に主祭神の宇迦之御魂大神が鎮座。左の中社には佐田彦大神、右の上社には大宮能売大神が鎮座され、左右摂社の田中大神、四大神とともに一宇相殿にお祀りされています。お稲荷様とか正一位稲荷大明神として崇敬される稲荷大神とは、五柱の神様の総称なのです。「いなこん」でも、うか様が言及してますね。
2018年7月22日。参拝者が絶えることのない内拝殿。地形的には稲荷山(233.8m)の西麓に位置しており、一の鳥居から本殿まで一直線に配置。かつて祭神が降臨された稲荷山の一ノ峰を遥拝する構成です。現在の本殿は室町時代の明応8年(1499年)に再建されました。
外拝殿に並ぶ行灯画。日が暮れる頃には提灯とともに点灯されます。「いなこん」原作者のよしだもろへ氏が奉納された、うか様の行灯画が内拝殿の正面に展示。「これが楼門にある漫画のキャラクターの…」「うかさんですね~」という大社の中の人の会話に和みました。
いなこん」の舞台として描かれる伊奈里神社は伏見稲荷大社がモデル。うか様は伏見稲荷の主祭神である宇迦之御魂大神に相当するキャラクターです。境内にパネルやポスターまで掲示。主祭神が登場するアニメに神社が協力してくれるなんて凄いことですよ。
2014年7月20日と2018年7月22日。権殿左手の鳥居をくぐって稲荷山へ。明るいうちに巡拝して日が暮れるのを待ちます。権殿の先には数々の境内社が鎮座。由緒は前回の記事を参照してください。
2014年7月20日と2018年7月22日。奥宮の右手が鳥居ゾーンの入口。扁額に「稲荷大神」の神号が輝きます。
2018年7月22日と2014年7月20日。稲荷山の参道に並ぶ鳥居の数は約1万基。鳥居を奉納する風習は江戸時代に生まれ、明治時代になると稲荷山全域の参道が鳥居で埋め尽くされました。今ではすっかり定着して稲荷山の象徴になっています。
2018年7月22日。千本鳥居。日没後は献納提灯が点灯されて、参道が真っ赤に染まります。
2014年7月20日と2018年7月22日。千本鳥居の中を歩きます。タイミングを見計らって、それらしい写真を。
鳥居のトンネルを通るような独特の雰囲気。奥社奉拝所に抜けます。
2018年7月22日。奥社奉拝所。奥の院とも呼ばれます。体力的に稲荷山に登れない方は、奥社で遥拝するといいでしょう。ここまでは本殿から簡単にアクセスできます。
奥社から稲荷山の四ツ辻へ。途中の写真は撮らずノンストップで登ります。
1805、稲荷山中腹の四ツ辻に到着。早足で登ると暑い。水分補給が必要です。
2018年7月22日。四ツ辻から西の京都市街を一望。北西の一番高い山は愛宕山(924m)。お山巡りは意外と険しくてハイキングに相当。観光地だと思っていたら滅茶苦茶歩かされるやつです。信仰に基づいて巡拝するための参道であることも忘れずに。
荒神峰の北西にある展望地へ。四ツ辻より眺望を得られる稲荷山の穴場です。3枚目は2018年7月22日。鉄柱に提灯が吊るされて鳥居形になっています。
夕日に照らされた京都市街の眺望。昔の山城盆地は、どんな風景だったのでしょう。
2018年7月22日。展望地の提灯の鳥居。日没後は山麓の表参道からよく目立ちます。
2019年7月21日。表参道から。こんな感じで鳥居が見えるのですね。
日没が迫る中、反時計回りに一ノ峰へ。鳥居の隙間から京都タワーが見えました。
黙々と歩きます。四ツ辻の先は人少なめ。
1835、一ノ峰に到着しました。標高233.8m、稲荷山最高峰の山頂。七神蹟の中でも特別視される上社神蹟です。遠い昔、この山の頂に神様が顕現されて伊奈利社が生まれました。1300年以上守られてきた神域を巡拝させていただいている、という気持ちを決して忘れてはなりません。
一ノ峰から道なりに下って御膳谷奉拝所へ。