2022-10-29 改訂
様々な小物を撮影するための機材と実例。アウトドア装備のサイトを作成する際に大活躍しました。
カメラ用品に定評のあるHAKUBAの撮影ボックス。Amazon限定商品です。
2021年に多種多様なアウトドア装備を紹介するサイトを立ち上げるにあたって、真っ先に導入した機材です。サイズは横幅440mm、高さ435mm、奥行き590mm。ベルクロを貼り合わせて組み立てる簡素な作りであり、使わない時は折り畳んで収納できます。高級感はありませんが、撮影ボックスに求められる機能は完璧に満たします。この製品のおかげで撮影が劇的に捗り、「GEARS」の開設に至りました。自信を持ってオススメできます。
上面に35灯x2列のLEDライトを備え、光束は530ルーメン。全面にアルミ箔が縫い付けられており、反射によって被写体を前や左右からも照らします。電源スイッチや明るさの調整機能は存在せず、上部から出たUSBケーブルを挿すとライトが点灯する仕様。PCの隣に設置して、PCから給電しながら小物撮影の作業を行うのに適します。ライトは明るく、長時間点灯すると熱を持つため注意が必要です。
背景シートはPVC製で、ホワイト、ブラック、オレンジの3種類が付属。内部にベルクロで留める作りです。単色では面白味に欠けると思い、雰囲気を盛り上げるために冬季迷彩(Multicam Alpine)の軽量ナイロン生地(Patriot Lite)を用意しました。折り畳んでホワイトの背景シートに固定しますが、かなり薄くてベルクロに弱い生地なので、慎重に取り扱います。スペアを含めて2枚買ったところ、撮影ボックス本体より高くつきました。
背景シートを取り付けてライトを点灯した状態。正面パネルに撮影用の小窓が設けられています。
ヘッドランプ(PETZL TACTIKKA XP)を小窓から撮影。メインカメラの役目を終えたコンデジ(RICOH G800)を使います。この写真では三脚に載せていますが、実際には全て手持ちで撮りました。照明が明るいので手ブレの心配は無用です。ISO100モードに設定し、ヒストグラムの山が右側ギリギリの状態になるよう露出を補正すると、装備の紹介に適した画質と明るさの写真を得られます。
小物撮影はPCの隣で行います。G800にはPCと連動するテザー撮影機能はありませんので、数種類撮ったらPCに入れて一番いい写真を選ぶ方式です。撮影ボックスを導入する前はデスクに広げた地図の上に小物を置き、部屋の電灯を光源にブレ気味の写真を撮る手法でした。それに比べると遥かに安定した環境で撮影できますから、テザー機能を備えないカメラでも作業効率は高いです。
撮影ボックスを用いたTACTIKKA XPの写真。満遍なく照らされて被写体の見栄えが良くなり、装備の細部や付属品など色々な写真を用意できました。Multicam Alpineの生地はタクティカルでアウトドア装備らしい雰囲気を演出し、大成功でした。尚、明るい白色ライトには被写体の色彩を薄くする欠点もあり、実際の色合いとは異なった写真になります。TACTIKKA XPはもっと深みのあるOD色です。
ボックス内部は十分な広さがあり、当サイトに掲載する装備の大部分が収まりました。白色ライトで被写体の色彩が薄くなるといっても、黒系から赤系まで無難な色合いで写ります。被写体の色によってホワイトバランスが崩れる場合がありますので、その時はカメラ側で補正します。
被写体 |
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1枚目 | ESS Crossbow APEL |
2枚目 | ASAHI PENTAX SP |
3枚目 | EXPED Vista Organiser |
4枚目 | モンベル U.L.スタッフバッグ |
装備のディテールが適切に伝わるよう、カメラのズームとマクロ機能を駆使して撮影します。照明の明るさのおかげで、手持ちのズーム撮影でもブレずに安定。これが撮影ボックスの強みです。
被写体 |
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1枚目 | SILVA No.3 |
2枚目 | NIfCO GS7 |
3枚目 | スノーピーク チタン先細箸 SCT-115 |
4枚目 | SAM XT Tourniquet |
正面パネルの小窓から縦構図で撮影した例。ガス缶付きのバーナーも余裕で収まります。撮影例を紹介するときりがありませんので、各ページに掲載している写真を参照してください。
被写体 |
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1~2枚目 | Nalgene 16oz Wide Mouth Bottle |
3枚目 | イワタニ カセットガス ジュニアバーナー |
4枚目 | MINOLTA AF ZOOM 28-135mm 1:4(22)-4.5 |
上面のライトで被写体を照らす構造ですから、ビニールのパッケージ等はライトの光が映り込みます。私は製品を紹介できれば十分と考えており、書籍の表紙以外は反射を気にせず撮影します。
被写体 |
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1枚目 | Tengu Brand Beef Steak Jerky |
2枚目 | Cold Steel Peace Maker II |
白地の背景で透明や白系の小物を撮影すると、同化してしまうことが判明。ブラックの背景シートを用いて存在感を出しました。インドア用の機材も黒のほうが引き締まって見えます。ちなみに黒いシートは埃の付着が目立ちやすく、写真に映り込むと見栄えが悪くなります。後で気付くと撮り直さなければなりませんので、しっかり埃を除去してから撮影するのが望ましいです。
被写体 |
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1枚目 | NAR Compressed Gauze |
2枚目 | 防塵マスク |
3枚目 |
ELECOM M-XGM10UBBK/EC |
4枚目 |
ぺんてるグラフギア1000 PG1015 |
撮影ボックスの代表的な用途は模型の撮影です。ずっと昔に作った1/35スケールのAFVと、1/200スケールの航空機を置いて撮影してみました。74TK以外はイラク派遣仕様ですから、中東らしさを演出するオレンジの背景シートを用いました。この撮影ボックスには、砲身の長い戦車等のAFVが余裕をもって収まります。例外は以下で紹介します。
被写体 |
スケール |
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1枚目 | アメリカ陸軍 M2A2 |
1/35 |
2枚目 | 陸上自衛隊 74式戦車 |
1/35 |
3枚目 |
陸上自衛隊 軽装甲機動車 |
1/35 |
4枚目 |
航空自衛隊 C-130H |
1/200 |
撮影ボックスはフィギュアの撮影にも最適です。こういった用途を想定していたわけではありませんが、『AIR』の影響を受けて買ったねんどろいどの撮影に大活躍しました。表現したい雰囲気に合わせてオレンジとホワイトの背景シートを使い分け、ホワイトバランスを調整すると効果的。3~4枚目は『Kanon』と『AIR』の名シーンの再現です。
被写体 |
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1~3枚目 | ねんどろいど 月宮あゆ |
4枚目 |
ねんどろいど 神尾観鈴 |
撮影ボックスは上面にも小窓があり、真上からライトで照らされた状態で書籍の表紙を撮影可能。白や黒の背景は合わなかったので、オレンジの背景シートを用いました。撮影できるサイズは縦・横ともにA4が限界です。光沢のある表紙を撮ると、ライトの光が映り込んで見栄えが悪くなるので要注意。反射を抑えたい場合は、後述するように正面パネルを開けて撮影します。
被写体 |
サイズ |
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1~2枚目 | 『東方茨歌仙』 | A5 |
3枚目 | 『伏見稲荷大社』 | A4 |
4枚目 | 『宇治橋』 | A4 |
正面パネルを開放して撮影すれば、光沢のある表紙の反射を抑えられます。大型書籍は自立しませんので、ブックエンドを用いて安定させます。「東方巡遊記」の記事執筆の参考にした文献だけでなく、Blu-ray BOXの紹介にも撮影ボックスを重宝しました。
被写体 |
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1~2枚目 | 『新尾道市史』 |
3枚目 | 熊野信仰に関する文献 |
4枚目 | 『AIR Blu-ray BOX Newパッケージ版』 |
被写体が大きい場合は正面パネルを開けて撮影しますが、あまりにもオーバーサイズだと左右のアルミ箔が映り込み、写真としての見栄えは非常に悪くなります。私が紹介したい装備の大部分はこの撮影ボックスに収まるため、一部の装備のために一回り大きいボックスを買う気はありません。撮影ボックスに収まらない大型装備については、後述の背景シートを用います。
被写体 |
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1枚目 | Black Diamond Soloist Gloves |
3枚目 | Montura Vertigo Leather GTX |
4枚目 | 陸上自衛隊 90式戦車(マインローラ装備) |
TACTIKKA XPを例にした撮影環境の比較。上述したように撮影ボックスの白色ライトは被写体の色彩を薄めてしまう効果があります。室内灯は暗すぎて論外。屋外で撮影すれば自然な色合いの写真を得られますが、そこまでの労力は掛けられません。やはり、PCの隣で効率よく作業できる撮影ボックスが最も優れています。
撮影環境 |
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1枚目 | 撮影ボックス |
2枚目 | 室内灯 |
3枚目 | 自然光 |
4枚目 | 自然光 |
撮影ボックスに収まらない大型装備を撮る手段。冬季迷彩(A-TACS AT-X)の丈夫なナイロン生地(CORDURA 500D)を用意して、部屋の中に背景シートとして設置します。室内灯は撮影の照明とするには暗く、手ブレが起きやすいため三脚(SLIK 450G-7)が必須。ヒストグラムを確認して露出を補正します。専用の照明もディフューザーも使わない簡易的な手法ながら、最低限の実用性はあります。
斜め上から照らされて影が生じるものの、装備紹介に耐えうる画質と明るさの写真を得られました。白地の冬季迷彩はアウトドア装備全般に合い、単色の撮影シートを使うよりも格段に雰囲気が良くなります。サイトの作成を企画するとともに撮影ボックスと背景シートを導入し、1ヶ月かけて全ての撮影作業を終えることができました。コンテンツの追加に伴い、その後も度々撮影を行っています。
被写体 |
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1枚目 | deuter FUTURA 32、Streamlight Sidewinder Military |
2枚目 | SLIK エアリー M100、MINOLTA α-7700i |
3枚目 | モンベル スノーポン |
4枚目 | PETZL GLACIER |