2022-09-17 公開
機械・設備系の仕事で使う防塵・防毒の保護マスク。有害な環境から呼吸器を守ります。
一般的な不織布マスク。新型コロナウィルスが蔓延する2022年現在の必需品です。
適切に着用すればウィルスの飛沫感染を防ぐ効果があり、日常生活や旅における基本装備になりました。アウトドアメーカーから洗って繰り返し使用できる高機能な製品も登場していますが、混雑する電車内で使ったマスクを再び着用したり、旅先で何度も同じマスクを着用するのは抵抗があるため、使い捨ての不織布マスクを使います。2020年のコロナ発生初期ならともかく、今では使い捨てマスクを安価かつ容易に入手できます。
私が訪れる地域は極端に人が少なく、旅先では一日中マスクを着用する必要がない場面も珍しくありません。それでも地元の人とすれ違ったり、駅に着いた際には素早くマスクを着用できるよう、ザックのショルダーハーネスに装着したDリング(ITW Nexus GrimLoc)に吊るして行動します。流石にマスクを持ってすらいない者は旅先で危険人物と見なされますので、必要のない場面でも「マスクは持っている」というアピールを心掛けます。
新型コロナの感染予防にはマスクの着用だけでなく、手指のアルコール消毒、他人との距離を保つ、ワクチン接種の組み合わせが有効です。通勤の電車や旅先に移動する新幹線・特急では混雑が避けられませんので、特に注意を払います。私はアウトドアだけでなくインドアの活動も重視しているため、当面は旅よりも記事執筆に注力してサイトの完成度を高める方針です。「東方巡遊記」に掲載する旅は、緊急事態宣言の時期を避けて実施していることを明記しておきます。
産業用の防塵マスク。機械・設備関係の仕事で使います。
保護規格は厚生労働省が定めるDS2に適合。NIOSH N95に相当する保護性能と認識されています。電動工具や空圧工具を多用する現場では有害な粉塵が大量に飛散するため、DS2規格の防塵マスクが絶対に必要。もし着用せずに毎日作業すれば、呼吸器が徐々に粉塵で侵され、将来的に塵肺で苦しむことになります。塵肺の進行は目に見えず、発覚したときには手遅れです。短時間の作業であっても、DIYであっても、粉塵作業では必ず呼吸器を守る防塵マスクを着用しなければなりません。
この防塵マスクは使い捨てタイプ。適切に着用すれば有害な粉塵が95%以上(100%ではありません)シャットアウトされ、サンダー(ディスクグラインダー)で金属やFRPの加工を行っても人体への悪影響を最小限に抑えられます。使用限度時間は9時間ですが現場では気にせず使っており、汚れたり息苦しくなったら新品に交換します。尚、粉塵作業には保護眼鏡も必要であり、私はバリスティックアイウェア(ESS Crossbow APEL、Gasket)と併用。作動音が大きい工具を使う場合は耳栓(SureFire EP3 Sonic Defenders)も着用します。
防塵マスクはヘルメット、保護ゴーグルとセットで防災用品にもなります。建物の倒壊で発生する粉塵や、火山噴火で降り注ぐ火山灰の中を避難しやすくなり、将来的な呼吸器疾患のリスクも軽減できます。普通のマスクよりも息苦しく、着用に慣れていない者が粉塵が充満する環境で走ったり長時間行動するのは厳しいですが、極めて有効な保護具であることに間違いはありません。作業場だけでなく、普段から防災用として携帯しています。
産業用の防毒マスク。機械・設備関係の仕事で使います。
面体1200と有機ガス用吸収缶3301J-55がセットになった製品。塗料などの有機溶剤を使用する作業に対応します。もし防毒マスクを着用せずに有機溶剤を扱うと、有害な蒸気が体内に吸収され、急性中毒を引き起こします。継続して有機溶剤を吸収すれば慢性中毒になり、重篤な神経障害に苦しむことになります。私の職場では短時間の作業しか行いませんが、将来の健康を考えて必ず防毒マスクを着用します。数秒の作業やDIYであっても、有機溶剤を扱う際は絶対に着用しなければなりません。
この防毒マスクは短時間の有機溶剤作業に適した使い切りタイプ。刷毛による塗装や、シンナー・パーツクリーナーを用いた部品洗浄に適しており、一般家庭の用途なら浴室のカビキラーにも有効です。エアブラシやスプレー缶のように粉塵が発生する塗装作業の場合は、防塵機能を備えた吸収缶3311J-55-S1を選ぶ必要があります。当然ながら、素手で有機溶剤に触れるのも極力避けるべきです。作業に際しては防毒マスクだけでなく、保護ゴーグルやゴム手袋の着用が望ましいです。
面体は軽量コンパクトかつサイズ調整が容易なシンプルな構造。適切に着用すればシンナーの刺激臭が全く気にならないほど保護性能が高く、吸収缶によって有害成分が確実にシャットアウトされていると実感できます。吸収缶の性能と面体の排気弁のおかげで息苦しさは感じないものの、30分も着用すれば当然のように蒸れます。それは仕方ないので諦めましょう。吸収缶の除毒能力は50分以上。ある程度使い込んでシンナー臭が気になり始めたら新品に交換するよう心掛けています。
使用後の防毒マスクをそのまま放置すると、湿気によって吸収缶の性能が失われます。少しでも吸収缶を長持ちさせるには、密封性の高いジッパーバッグが有効と思われます。吸収缶だけ入れてもいいのですが、私は面体の水分をしっかり拭き取った上で、面体ごと収納しています。この状態で保管すれば吸収缶の活性炭が湿りにくくなるはず。使い切りの道具とは言え、自分の健康を守ってくれる大切な保護具です。マスクが私を有機溶剤から守ってくれるように、私もマスクを湿気から守ります。