東方巡遊記 GEARS

シューケア用品

2022-09-17 改訂

登山靴の性能と革靴の見栄えを向上するための手入れ道具。入念な整備で靴を長持ちさせます。

「GEARS」の趣旨をご一読ください
「GEARS」にアクセスしていただき、誠にありがとうございます。当サイトの情報は一旅人の感想に過ぎず、細部のレビューや装備選びのガイドを目的に作成したものではありません。改造や生産中止により現行の製品とは異なっている場合もあります。記載内容を過信して発生したトラブルには一切の責任を負いかねますので、必ずサイトの趣旨を理解した上で記事をお読みください。
サイトに掲載する写真・文章等の著作権は管理人のMarcyが有します。コンテンツを外部に転載したり、二次使用することは形態を問わず固く禁じます。営利目的のサイトに「参考ページ」などと称してリンクを貼る行為も認めません。転載・盗用を発見した場合、相応の措置を講じます。

はじめに

酷使したアルパインブーツ
徒歩旅の必需品であるトレッキングシューズやアルパインブーツなどのフットウェアは、足を保護して道を進む用途に特化した高性能な製品です。私が愛用する靴はアッパー素材に堅牢なシンセティックレザーまたはヌバックレザー、ライニングには防水性に優れた"GORE-TEX"が採用されており、雨天はもちろん、泥や雪の中に突っ込んでも浸水することはありません。しかしながら、靴を酷使すれば防水性能は徐々に失われます。手入れを怠ると生地が劣化して、本来の機能が失われてしまいます。

高機能な靴が備えている防水性と通気性を維持するには、定期的な整備が不可欠。使い込んで汚れたら洗い、防水ワックスを塗布して次の旅に備えます。雨続きの旅でも靴の中をドライな状態に保つことができるのは、入念な整備に依るところが大きいです。生地が摩耗して穴が空いたり、ソールが磨り減ってグリップ性が失われない限り、靴は使用可能です。安易に買い替えるのではなく、大切な靴を整備して長く使い続ける。装備に愛着を持ち、その手入れにもこだわるのが装備マニアなのです。

このページでは一般的なアウトドア用のアルパインブーツのほか、本革製のタクティカルブーツを磨き上げる軍隊式の手入れも紹介。傷んだ革を保護するとともに、艶を出して見栄えを向上する特殊な手入れになります。両方とも業界の主流といえる整備方法ですが、一部は実用性を重視して自己流にアレンジしています。全ての靴・用途に適合するものではないことに留意ください。

目次

アルパインブーツの手入れ

使い込んだアルパインブーツ 使い込んだアルパインブーツ
縦走登山及び冬山登山で使用するアルパインブーツ(Montura Vertigo Leather GTX)。アッパー素材はヌバックレザーとナイロン。ライニングは"GORE-TEX"です。整備前には靴紐とインソールを外して個別に洗います。

これから紹介する整備方法はヌバックレザーの登山靴に限らず、スウェードのウォーキングシューズ(SIRIO P.F.112)、シンセティックレザーのトレッキングシューズ(SIRIO P.F.301Berghaus Explorer Active GTX Mid)のほか、非防水のウォーキングシューズ(ミズノ ウエーブエクスプローラーFS II)にも適用できます。

No.77 ブラシ

No.77 ブラシ
ノーブランドの豚毛ブラシ。革やナイロンの生地を傷つけない適度な硬さで、泥汚れを落とす用途に向いています。靴だけでなく自転車用バッグザックレインウェアの整備にも活用。装備の汚れ落としに欠かせないブラシです。

ブラシでブーツの汚れを落とす ブラシでブーツの汚れを落とす
まずは屋外で大まかに泥汚れを落とします。バケツに入れた水でブラシを濡らしてアッパーやソールをこすると、大抵の泥や砂粒は除去できます。普段からワックス(後述します)を塗布していれば、これだけ表面を濡らしても内部には全く浸水しません。

ブラシでブーツの汚れを落とす
風呂場に持ち込んで再び汚れ落とし。生地の縫い目やソールの隙間に挟まった砂粒を除去します。全工程を屋外でやってもいいのですが、私は屋内作業のほうが集中できます。水の温度は季節によって変更。夏は冷水で、冬は温水で洗います。

NIKWAX Footwear Cleaning Gel

NIKWAX Footwear Cleaning Gel
靴用の弱アルカリ性クリーニングジェル。革にも合成繊維にも使用できる洗剤です。

NIKWAX Footwear Cleaning Gelをブーツに塗布 ブラシでブーツの汚れを落とす
クリーニングジェルを靴全体に塗布。先端にスポンジを備えており、塗り込むと泡立ちます。ブラシでジェルを馴染ませたら、泡が残らないようしっかり洗い流します。外部だけ洗う場合、靴の中を過度に濡らさないよう注意して作業します。

NIKWAX Tech Wash

NIKWAX Tech Wash
レインウェア用の弱アルカリ性洗剤。上述のNIKWAX Footwear Cleaning Gelと同じ成分と思われます。長期間履いて靴の中も洗ったほうがいいと感じた場合、この洗剤を使います。

NIKWAX Tech Washをバケツに投入 レインウェアをNIKWAX Tech Washに漬け込む
靴ではなくレインウェアを例に紹介。バケツに湯を溜めてキャップ1杯分の洗剤を投入。レインウェアを漬け込んで15分放置した後、泡が残らないようしっかり洗い流します。私が持っているバケツの容量は8Lなので、大柄なアルパインブーツは1足ずつ漬け込みます。

NIKWAX Fabric & Leather Proof

NIKWAX Fabric & Leather Proof
靴用の水溶性防水ワックス。"GORE-TEX"等の防水透湿素材の機能を回復する効果があります。スウェード及び合成繊維専用と記されていますが、気にせずヌバックレザーにも使います。

NIKWAX Fabric & Leather Proofをブーツに塗布 NIKWAX Fabric & Leather Proofをブーツに塗布
クリーニングジェルを洗い流して湿った状態の靴にワックスを塗布。先端にスポンジを備えており、塗り込みやすいです。防水性能に関わる重要な工程なので、靴全体に確実に染み込ませます。表面に溢れ出たり、金具やソールに付着した余分なワックスはウェスで拭き取ります。

ブーツの防水処置が完了
余分なワックスを拭き取ったら自然乾燥させます。スウェード及びシンセティックレザーの靴はこれで整備完了。ヌバックレザーの靴は更にワックスを塗布する工程に進みます。

NIKWAX Waterproofing Wax for Leather

NIKWAX Waterproofing Wax for Leather
革靴用の防水ワックス。防水透湿性を維持しつつ革を保護する効果があります。スムースレザー用と記されていますが、ヌバックレザーの手入れにも問題なく使えます。

NIKWAX Waterproofing Wax for Leatherをブーツに塗り込む
湿った状態の革にワックスを塗布。革の保護と美観、靴の防水性に関わる最重要工程です。金具の付け根や縫い目に塗り残しがないように、全ての革部分に指で入念に塗り込みます。ナイロンや金具に付着した余分なワックスはウェスで拭き取ります。

Collonil 馬毛ブラシ

Collonil 馬毛ブラシ
柔らかい馬毛をふんだんに使ったブラシ。革製品の手入れの仕上げに適します。

ブラシでワックスを馴染ませる ブーツにワックスをかけた状態
ワックスを塗布した革をブラッシング。ワックスを馴染ませるだけでなく、艶を出して見栄えを向上する役割もあります。ブラッシング後は自然乾燥させます。

仕上げのブラッシング 仕上げのブラッシング
自然乾燥後、仕上げのブラッシングを行います。このアルパインブーツは元々艶消しの薄ブラウンだったのが、ワックスで色合いが変わって半艶の濃いブラウンになりました。ワックス後のほうが登山靴らしい質感で気に入っています。

アルパインブーツの整備が完了
靴紐を通してアルパインブーツの整備完了。ワックスによって雨と雪を完全に遮断する防水仕様です。縦走登山用に購入してから5年経つものの、酷使するたびに欠かさず整備しているため、革が乾燥したり劣化する気配は一切ありません。革の手入れが面倒であることは事実ですが、堅牢な登山靴の品質を維持しながら使い込むのも一つの楽しみ方と言えるでしょう。

革靴の手入れと見栄え向上

使い込んだタクティカルブーツ 使い込んだタクティカルブーツ
摩耗したブーツのつま先 摩耗したブーツのつま先
街歩きと写真撮影の旅で使用するタクティカルブーツ(5.11 A.T.A.C. 6")。アッパー素材はフルグレインレザーとナイロン。ライニングは透湿素材です。これから紹介する整備方法は見栄えの向上に重点を置いており、軍隊や警察など威厳が求められる特殊な業界向けの内容です。

ブラシでブーツの汚れを落とす NIKWAX Footwear Cleaning Gelをブーツに塗布
NIKWAX Fabric & Leather Proofをブーツに塗布 ブーツの防水処置が完了
靴としての整備は上述のアルパインブーツの手入れと同様。ブラシとクリーニングジェルで汚れを落とし、ワックスで防水性を与えます。革は後から保革クリームで手入れするので、この段階ではナイロン生地だけにワックスを塗布。革は洗うだけにしておきます。

革の手入れ前のブーツ 革の手入れ前のブーツ
革の手入れ前のブーツ 革の手入れ前のブーツ
汚れ落としと防水処置を終え、自然乾燥させた状態のブーツ。つま先や側面が傷だらけになり、革のダメージが目立ちます。ここから靴全体を黒光りさせて、つま先がピカピカになるまで磨き上げます。つま先が摩耗していると凹凸のせいでうまく磨けませんので、1000番の紙やすりで表面を均します。

Collonil 1909

Collonil 1909
革製品用の栄養クリーム。保革効果に優れたシダーウッドオイル、ラノリン、フッ素樹脂から構成されています。使い込んで傷んだ革に潤いを与えるとともに、色合いと艶が向上する効果があります。上述のワックスほどではありませんが、撥水性を与える機能も持っています。

ブーツにCollonil 1909を塗り込む ブーツにCollonil 1909を塗り込む
ブーツにクリームを塗布。革の保護と美観に関わる重要な工程です。ストッキングを用いて、全ての革部分に入念に塗り込みます。素手で作業すると指が真っ黒になるので、ビニール手袋を嵌めます。

ブーツをブラシで磨く Collonil 1909の効果
Collonil 1909で綺麗になった革 Collonil 1909で綺麗になった革
クリームを塗布した革をCollonil 馬毛ブラシでブラッシング。2枚目の写真、左が塗布前、右がクリーム+ブラッシング後です。黒の色合いが向上し、半艶仕様になりました。

Collonil 1909で綺麗になったブーツ
全体をブラッシングして黒光りする状態に。美観と保革を兼ねており、実用性は高いです。一般的な革靴はこれで整備完了。軍隊や警察の場合は、更に見栄えを良くするための工程に進みます。

カメラの革製ケースをCollonil 1909で手入れ
この保革クリームは靴以外の革製品にも適用できます。フィルムカメラ(ASAHI PENTAX SP)に付属する革製ケースも、定期的にクリームとブラシで手入れしています。

ArmorAll Protectant

ArmorAll Protectant
自動車用の保護艶出し剤。ダッシュボードやタイヤ側面などの樹脂・ゴムを艶出しするための製品です。応用的な使い方として、靴のアウトソールの見栄えを向上することもできます。

ArmorAll Protectantをソールに塗布 ブーツのソールを艶出し
アウトソールの側面に艶出し剤を塗布。ウェスで塗り拡げた後、ブラシで馴染ませて艶を出します。底面に付着するとスリップする恐れがありますので、余分な艶出し剤は必ず拭き取ります。

ArmorAll Protectantの効果
左が塗布前、右が塗布後。アウトソールの黒が濃くなり、擦り傷が目立ちにくくなりました。あくまで美観目的であり、靴の機能には一切寄与しません。綺麗な靴を演出するためだけの作業です。

Kiwi Parade Gloss Prestige

Kiwi Parade Gloss Prestige
革靴を磨くためのワックス。カルナバワックスを含むロウ、油脂、有機溶剤から構成されています。軍隊で半長靴のつま先を磨くための必需品であり、新兵でもいつの間にか鏡面磨きのスキルが身に付いてしまいます。競合メーカーであるSaphirの製品も有名ですが、私はKiwi一筋です。

ブーツのつま先にKiwi Parade Gloss Prestigeを塗布 ブーツのつま先にKiwi Parade Gloss Prestigeを塗布
ブーツのつま先にワックスを塗布。素手で作業すると指が真っ黒になるので、ビニール手袋を嵌めてウェスで塗り拡げます。このワックスは買ったままの湿った状態です。鏡面仕上げを目指す場合は蓋を開けてワックスを乾燥させ、硬いワックスでコーティングするように盛り付けます。

ブーツのつま先に水分を与える ブーツのつま先を艶出し
ワックスの上に水分を付着させ、ウェスで10円玉サイズの円を描くように磨きます。するとワックスが艶を出し、少しずつピカピカになっていきます。水分を与える方法は霧吹きや小さいトレーなど人それぞれ。最終的な艶出しには、息を吹きかけて曇らせるのが一番いいと思います。

ブーツのつま先をストッキングで磨く つま先を光らせたタクティカルブーツ
ウェスで艶が出たら、息を吹きかけてストッキングで磨きます。これはワックス1回目の状態。十分綺麗な見た目ですが、つま先を光らせたと標榜するには不十分。毎日つま先を磨く作業を繰り返すことで、表面がコーティングされてピカピカのつま先が得られるのです。

つま先を光らせたタクティカルブーツ つま先を光らせたタクティカルブーツ
手入れ前のブーツのつま先 磨き上げたブーツのつま先
ワックスを塗布して磨く工程を数回行った状態。3枚目と4枚目が作業前後のつま先の比較写真。鏡面仕上げには程遠いものの、傷が埋まって反射するようになりました。上述したように乾燥させたワックスを使い、仕上げに無色透明のワックスで磨くと、恐るべき鏡面が出来上がります。

整備後のタクティカルブーツ 整備後のタクティカルブーツ
靴紐を通してタクティカルブーツの整備完了。ナイロン生地の防水と革の品質維持という実用的な手入れに加え、ソールとつま先を磨く見栄え重視の作業を行いました。つま先を光らせたからといってタクティカルアドバンテージを得られるわけではなく、山で使用すればすぐに汚れてしまいますが、登山靴と同じく自己満足で綺麗に整備しています。

関連記事

フットウェア:自転車と徒歩の旅で使う防水性の高い靴 安全靴:機械・設備系の仕事で使う保護性能に優れた作業靴
インソール及び靴下:徒歩旅の負担を軽減する靴のインナー レインウェア:自転車と徒歩の旅で使う雨天行動用の装備

「GEARS」の感想はこちらから
「GEARS」は旅人に向けて本物の情報を提供したいという想いで運営しています。記事の内容が気に入った方も、そうでなかった方も、感想フォームの匿名アンケートにご協力ください。閲覧者の皆様からのフィードバックは大きな励みになり、サイトを維持・更新する原動力になります。感想フォームの回答や、記事のシェアによるご支援をお願いします!有用なサイトを目指す管理人からの切実なお願いです!

ページトップに戻ります。

「GEARS」の一覧に戻ります。
「東方巡遊記」に戻ります。