2022-09-17 改訂
自転車と徒歩の旅で使うバーナー・クッカー類。時間をかけずに簡素な食事を作ります。
旅先での食事は極力コンビニのカップ麺で済ませるのが私のスタイル。幹線道路を走るツーリングではコンビニが多く、好きなタイミングで食事にありつけます。しかし山間部のツーリングやバックパッキングの場合、コンビニの存在は稀であり、縦走登山に至っては湧き水以外の一切の補給を得られません。事前にコンビニで補給する、あるいは自炊セットで湯を沸かして食事を作る必要があります。
食事には時間をかけたくないので、茹でるだけのインスタント麺や湯を注ぐだけのアルファ米を重宝します。本格的な料理は作りませんから、バーナーの火力とクッカーのサイズは必要最低限。ザック内の容量を圧迫しない軽量コンパクトな製品を選んでいます。尚、道の駅や休憩所では「火器の使用禁止」と明記されている場合があり、そのような事態に備えて火器が不要な食糧も用意しています。
このページではツーリングとバックパッキングで使用するバーナーとクッカーを紹介。食事の内容は食糧のページに分割しました。野宿主体の旅で簡素な食事を作る道具、という観点から執筆しており、登山やキャンプにおける料理セットとはかけ離れた内容であることに留意ください。火気厳禁の場所では絶対にバーナーを使用しないようお願いします。野宿と同じくマナーが求められる行為です。
ホワイトガソリンを燃料とするバーナー。冬季の山歩きで活躍しました。
自炊が必要なトレッキングを始める際に、クッカー(MSR Alpine Stoaway Pot 775ml)とともに借りた機材。高火力が売りの製品であり、低温の環境でも安定して使用できます。バーナーはストーブ・ポンプ・ボトルから構成されており、使用前にはプレヒートと呼ばれる予熱作業が必要。ボトルをストーブに接続する前にポンピングし、ストーブに生ガスを出してライターで着火。炎が小さくなったら栓を開放して本使用となります。非常にタフな性能にも関わらず、燃焼音は意外と静かです。
ストーブの五徳と脚は3本。登山用バーナーとしては普通の安定性で、折り畳むとコンパクトです。火力の微調整は不得意であり、使用中は炎が揺れるため付属の風防(MSR Windscreen)が必須です。氷点下でも当然のように使える抜群の信頼性を誇りますが、キャンプや料理を目的としない私には明らかにオーバースペック。ツーリング用に買ったイワタニ カセットガス ジュニアバーナーを縦走登山を含む徒歩旅全般に使うようになり、返却しました。
MSR Whisperliteに付属するアルミ製の風防。バーナーを囲うだけのシンプルな作りで、風で炎が揺れるのを抑える効果があります。シートの端にはホースを通す切り欠きあり。風防そのものが軽すぎて風でめくれる、飛ばされるという弱点を持っており、クリップで留めるといった工夫が必要です。
この風防はWhisperliteだけでなく、風に弱いイワタニ カセットガス ジュニアバーナーにも適します。本来の風防としての役割のほか、広げることで地面やテント内に敷くシートとしても使用可能です。但し、テント内でのバーナー使用は安全性の観点から推奨されません。あくまで自己責任です。
LPG(液化ブタン)を燃料とするバーナー。ツーリングとバックパッキングの主力です。
登山用バーナーと異なり、一般的なカセットガス(イワタニ カセットガス)を使用する製品。安価で入手しやすく、野宿旅の途中でガスが切れても容易に補充できるのが利点です。ガス缶は250gと120gの2種類あり、旅の期間に応じて使い分けます。 五徳は4本、脚は3本。ガス缶が脚として機能するのでクッカーを載せた際の安定性が高いです。樹脂製のハードケースが付属しており、ザック内部に詰め込んだバーナーが確実に保護されます。
使用の際はバーナーにガス缶をセットし、栓を緩めて着火するだけ。バーナー本体の点火スイッチは数年で故障したのでライターで着火します。登山用バーナーに比べると低火力であり、風が強い環境では風防(MSR Windscreen)が欠かせないものの、野宿主体の旅でインスタント麺を茹でたりアルファ米の湯を沸かすぐらいの用途なら十分すぎる性能。火力調整も容易です。
元々はツーリング用に買ったバーナーですが、使い勝手の良さからMSR Whisperliteに替わってバックパッキングに転用。ツーリングではインスタント麺用のクッカー(EPI ATSチタンクッカー TYPE-2S)、縦走登山を含む徒歩旅ではアルファ米用のマグカップ(EPI シングルチタンマグ カバーセット)と併用するスタイルを確立しました。とにかく扱いやすくて気に入っています。
ステンレス製のクッカー。トレッキングで使用しました。
バーナー(MSR Whisperlite)とともに借りた機材。475ml、775ml、1.1L、1.6Lの4サイズがあり、775mlのみ使いました。775mlの直径は14cm、深さは6.2cmで各種インスタント麺とLAGER 岳食を茹でられます。本格的な料理に適した製品であり、蓋はヒンジ付きのハンドルでロックできる堅牢な作り。耐久性と保温性には優れますが、ザックに入れて携行するには重いです。私の用途にはオーバースペックだったので、軽量なEPI ATSチタンクッカー TYPE-2Sを導入して返却しました。
チタン製の軽量クッカー。ツーリングとバックパッキングで使用します。
ツーリングに適したバーナー(イワタニ カセットガス ジュニアバーナー)とともに導入。容量は0.8Lあり、直径は13cm、深さは7cm。各種インスタント麺とLAGER 岳食を茹でられる最小サイズです。蓋と鍋には掴みやすいハンドル付き。内側に目盛りが刻印されているのでペットボトルから適量の水を注ぐことができます。バーナーの直火にかけて使うため、当然シングルウォール構造になります。
チタンは軽量で耐久性に優れる反面、熱伝導率が低い問題を抱えます。この製品はアルミニウム溶射と呼ばれる技術で底面をコーティングしており、チタンの欠点を克服。クッカー内にバーナーの熱が伝わりやすく短時間で湯を沸かせます。コーティング面はザラザラになっており、五徳の上で多少の滑り止め効果を発揮。ただ軽いだけでなく、使いやすさの面でも優れています。
ツーリングとバックパッキングでインスタント麺を作る用途には、このクッカーとジュニアバーナーの組み合わせが最適。自転車用バッグやザックを圧迫しないサイズです。縦走登山では更に軽量コンパクトなクッカーが必要になり、アルファ米の湯を沸かす小型のマグカップ(EPI シングルチタンマグ カバーセット)を導入。最近の徒歩旅はクッカーよりマグカップを携行するほうが多いです。
チタン製の軽量マグカップ。シングルウォール構造で容量は230mlです。旅先でコーヒーを淹れるために買ったのに、自販機の缶コーヒーで間に合うことに気付いて洗面セット専用に。歯ブラシ、ボディシートと併せてポーチに収納しています。後述のEPI シングルチタンマグ カバーセットを自炊に使う旅では、機能が重複するから携行しません。
チタン製の軽量コンパクトなマグカップ。縦走登山における軽量化の必要性に迫られて導入しました。
湧き水しか補給を得られない縦走登山では、少しでも水の消費量を減らさなければなりません。インスタント麺は1食あたり500mlもの湯を沸かさなければならない上、大量に携行すると嵩張る欠点があります。従来のツーリングとバックパッキングの定番だった食糧を根本的に見直し、新たに主食に選んだサタケ マジックパスタは150ml、尾西食品 アルファ米は160ml、モンベル リゾッタは175mlの水が必要になります。その消費量に対応する最低限のマグカップとして本製品を選びました。
シングルウォール構造で容量は330ml。マグカップながらカバー(蓋)が付属しており、効率よく沸騰させられます。EPI ATSチタンクッカー TYPE-2Sのような熱伝導率を高めるコーティングは施されていませんが、150ml程度の湯ならすぐ沸かせるため実用上の問題はありません。計量用の目盛りも無いため、目盛りを備えたボトル(Nalgene 16oz Wide Mouth Bottle)から水を注ぎます。尚、バーナーは従来通りイワタニ カセットガス ジュニアバーナーを使用します。
クッカーに比べると圧倒的に軽量コンパクトであり、水・食糧・自炊セットの全てを軽減可能。あくまで縦走登山用の手段として導入したはずが、食事の手間を省きたい私には最適なスタイルと判明しました。最近の徒歩旅はインスタント麺とクッカーではなく、アルファ米とマグカップの組み合わせが定番に。洗面セット用のマグカップとしても使えるため、歯ブラシ、ボディシートと併せてポーチに収納しています。食事は簡素に済ませて、旅の目的である歴史探訪に注力する次第です。
チタン製のフォークとスプーンのセット。耐食性に優れ、軽量かつ薄型で嵩張らないです。収納用のクリアケースが付属。フォークとスプーンを束ねるリングもありましたが、必要ないので外しています。各種インスタント麺とLAGER 岳食にはフォーク、樹脂製スプーンが付属しないモンベル リゾッタにはスプーンを使用。特に不満もなく12年間使っていたところ、箸もあったほうがいいと気付き、インスタント麺用にスノーピーク チタン先細箸 SCT-115を追加しています。
使い捨ての割り箸。コンビニでカップ麺を買うと貰えます。自炊の際はフォーク(スノーピーク チタンカトラリーFS)または箸(スノーピーク チタン先細箸 SCT-115)を使うから必要ありませんが、ラップにくるんでスペアの食器として携行しています。ライターのバックアップとしてマッチを用意するのと同じことです。
景品で貰ったクーラーバッグ。自炊セットと食糧をまとめて収納する用途に使います。
容量は約5.5L。四角形のバッグの内側にアルミシートが縫い付けられた簡素な作りです。私は冷えた食品やドリンクを携行しないので保冷機能は求めません。それよりも四角形でバーナーやアルファ米が無駄なく入り、このバッグ一つに3日分の食糧を集約できるのが優れた点です。バッグを収納する場所はザックの下部コンパートメント。旅の期間や自炊セットの種類によっては全て収まりきらず、ガス缶やクッカーを独立させる運用になりますが、ザックに収納しやすい手頃な大きさで気に入っています。