2022-12-04 改訂
旅の風景を印象的に撮影する旧式のカメラ。歴史探訪に最も適した撮影機材です。
風景をフィルムに焼き付けることで生まれる写真は、デジタルカメラには再現できないリアルな質感を持っています。私は堅牢なコンデジをメインカメラとして用いる一方、旅の風景を印象的に撮るためにフィルム式の一眼レフカメラを多用します。当初はおまけ程度に使うサブカメラだったのが、マニュアル操作に習熟した現在では旅に欠かせない機材になりました。コンデジは記録写真、フィルムは風景撮影と使い分けるスタイルです。
旅における撮影対象は道・町並み・神社・寺院・山岳といった風景が中心。古い文化を楽しむ歴史探訪の旅には、フィルムで撮影したレトロスペクティブな写真が最適だと思います。カメラの薀蓄や撮影テクニックには興味がなく、写真に対する芸術系の作品意識は一切持っていません。カメラを携行して歩き回り、自分の心に響いた風景を見たままに撮って記録する。それが「東方巡遊記」の方針です。
このページにはフィルムカメラとレンズのみ掲載。各種フィルムで撮影した風景写真と特性の紹介はフィルムのページ内に分割しました。フィルムカメラを多用するようになった現在はコンデジ、MF一眼レフ、AF一眼レフの3台態勢であり、旅先でカメラを取り回しやすくする工夫やカメラ関係機材の充実も不可欠です。ストラップや三脚、フィルムの携行手段はカメラ用品のページで紹介します。
多趣味だった祖父の遺品。昭和39年(1964年)に発売されて大ヒットしたマニュアルフォーカスの一眼レフカメラです。使用後の手入れを欠かさなかったらしく、2009年の時点でも外観・メカともに良好な状態。
今時のデジタルカメラとは何もかもが異なる旧時代のカメラですが、当時としては高性能かつ軽量で扱いやすい製品だったそうです。実際に使ってみると、ベストセラーの理由がよく分かります。
裏蓋を開けてフィルムを装填し、レバーを巻いてフィルムを送り、ピント合わせや露出の設定もマニュアル操作というのは逆に新鮮な感じ。水銀電池式のTTL露出計内蔵を最大の特徴とするも、私は露出計を使わず、先にデジカメで撮った数値を参考に絞りとシャッタスピードを決めることが多いです。レンズはM42マウント。広角や望遠など数種類ありましたが、旅先で交換するのは煩わしいため標準単焦点レンズ(Super-Takumar 1:1.4/50)のみ使います。
ボディと内部メカは堅牢な作りで、発売から50年以上経っても破損や故障の気配がありません。付属の革製ケースは使い込んでボロボロになり、カメラ保護のため下側のみ装着。ソフトカバー(HAKUBA ルフトデザイン スリムフィット カメラジャケット M-80)を被せて携行します。ストラップは機能性に優れたECHO NiNER Original Camera Strap Ver.2に交換し、取り回しを向上しました。
マニュアルで適正露出を得るのは難しく、フィルムを何本も使って習熟するしかありません、私の場合は尾道で沢山撮影するうちにフィルムの特性を理解し、自分好みの写真を作れるようになりました。ファインダーを覗き、1枚の仕上がりを熟考してシャッターを切るのがこのカメラの魅力。フィルムを巻き上げる感覚と、鋭いシャッター音…そこから生まれるフィルム写真は本当に素晴らしいものです。
平成2年(1990年)に発売されたオートフォーカスの一眼レフカメラ。伯父が恩師に貰ったものが私の元にやってきました。αシリーズの第2世代であるMINOLTA α-7700iの改良型であり、当時としては最高性能のカメラだったそうです。樹脂製ボディのデザインが格好いいと思えず、7年ぐらい放置していましたが、試しにバッテリーを入れて使ったところAF機能と広角レンズの性能が気に入り、MFのASAHI PENTAX SPとともに旅の必需品になりました。
オートフォーカスと自動露出機能を備えており、動作にはリチウム電池(2CR5)が必要です。シャッターボタン半押しでピントと露出が決まり、押し込むとシャッターが切れる操作性はデジタルカメラと同じ。昼間ならネガフィルムでもリバーサルフィルムでも適正露出に設定されて撮影できます。もちろんマニュアル設定に切り替えられ、三脚(SLIK エアリー M100)とケーブルレリーズ(ROWA TC-2003)を併用すれば任意の露出で夜景撮影も可能でした。
レンズは広角単焦点のMINOLTA AF 20mm 1:2.8(22)と広角望遠のMINOLTA AF ZOOM 28-135mm 1:4(22)-4.5が付属。αマウントで容易に交換できます。薄暗い環境で素早く脱着できるように蛍光テープで嵌め合わせ位置を表示。レンズキャップのランヤードはパラコード 3/32"に交換しました。カメラ本体はボディ上部とファインダー内の液晶が液漏れしていたものの、内部メカは問題なし。樹脂製のグリップは劣化しており、自己融着テープを貼ってグリップの代用としました。
バッテリーで作動する精密機械ですから、雨や衝撃には耐えられません。カメラ保護のためソフトカバー(HAKUBA ルフトデザイン スリムフィット カメラジャケット L-120)を被せて携行。ストラップはECHO NiNER Dee lux Camera Strapに交換し、取り回しを向上しました。α-8700iを使い始めた頃からフィルムカメラに対する思い入れが強くなり、PENTAX SPと併せてカバーやストラップなど充実のオプションを用意。カメラの運用を合理化した経緯があります。
30年前は最先端のAFカメラだったこともあり、その機能性と操作性は最高。このカメラのおかげでリバーサルフィルムに手を出し、撮影枚数が飛躍的に増え、歴史探訪の旅を鮮やかな写真で残せるようになり、フィルム写真の美しさを意識するようになりました。残念ながら使い始めて3年後にシャッターの動作が不安定になり、スペアとして保管していたα-7700iに交替。惜しまれつつ引退となりました。
昭和63年(1988年)に発売されたオートフォーカスの一眼レフカメラ。MINOLTA α-7000から発展したαシリーズの第2世代モデルです。職場の人に譲り受け、スペアカメラとして保管していたところ、愛用のMINOLTA α-8700iが故障。前モデルのα-7700iが後継機になりました。
AFカメラとしての特徴はα-8700iと同等。オートフォーカスと自動露出機能を備えており、動作にはリチウム電池(2CR5)が必要です。モード設定等の操作性はα-8700iのほうが洗練されていると感じますが、性能やデザイン自体は大きく変わっていないため、慣れると問題なく使えます。もちろんネガフィルムでもリバーサルフィルムでも適正露出で撮影可能であり、三脚(SLIK エアリー M100)とケーブルレリーズ(ROWA TC-2003)を併用した夜景撮影にも対応します。
広角レンズ(MINOLTA AF 20mm 1:2.8(22))、望遠レンズ(MINOLTA AF ZOOM 28-135mm 1:4(22)-4.5)、ソフトカバー(HAKUBA ルフトデザイン スリムフィット カメラジャケット L-120)、ストラップ(ECHO NiNER Dee lux Camera Strap)はα-8700iから引き継ぎ、これまでと同じ使用感を確保。レンズの嵌め合わせ位置を蛍光テープで表示し、レンズキャップのランヤードをパラコード 3/32"に交換するのも同じです。
樹脂製グリップは例によって劣化しており、自己融着テープを貼りました。見栄えは悪いかもしれませんが、グリップ性は十分あるから気にしません。カメラは旅の風景を撮影するための実用品ですから、見た目よりもカメラとしての使い勝手が重要です。高性能なMINOLTAのαは私の旅の必需品。α-7700iまで故障しないよう神仏に祈りながら使っています。
昭和60年(1985年)に発売されたオートフォーカスの一眼レフカメラ。世界初の実用的なAFカメラであり、革新的な製品としてカメラ業界に衝撃を与えたそうです。MINOLTA α-8700iとセットで貰い、液晶やグリップの劣化が目立つものの一応の動作を確認済み。現役のMINOLTA α-7700iが故障したら、このα-7000に交替するかもしれません。
ASAHI PENTAX SP用の標準単焦点レンズ。ねじ込み式のM42マウントです。カメラの薀蓄に興味がないため、レンズの性能や数値にも関心がありません。スペックを気にしなくても写真は撮影できます。
撮影場所 |
カメラ |
フィルム |
撮影年 |
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1枚目 | 大和国一宮の大神神社 | PENTAX SP |
SUPERIA X-TRA 400 |
2018 |
2枚目 | 山城国の祇園社(八坂神社) | PENTAX SP | SUPERIA X-TRA 400 | 2020 |
3枚目 | 富士山と山中湖 | PENTAX SP | SUPERIA X-TRA 400 | 2017 |
4枚目 | 出雲大社の神門通り | PENTAX SP | SUPERIA X-TRA 400 | 2016 |
ネガフィルム(FUJIFILM SUPERIA X-TRA 400)で撮影。50mmの標準レンズは画角が狭く、社殿や山の全景は入りません。拝殿、町並み、路地といった風景の一部を切り取る用途に適しており、ネガで撮ると印象的な写真になります。私はレンズフィルター(Kenko MC SKYLIGHT(1B))で実際より色褪せた感じに補正し、4.5以上に絞った暗めの仕上がりが好みです。
MINOLTA α-8700i用の広角単焦点レンズ。αマウントで容易に脱着できます。α-8700iの引退後はMINOLTA α-7700iに引き継ぎました。
撮影場所 |
カメラ |
フィルム |
撮影年 |
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1枚目 | 山城国の平等院鳳凰堂 | α-8700i |
Velvia 100 |
2018 |
2枚目 | 下総国一宮の香取神宮 | α-8700i | Velvia 100 | 2018 |
3枚目 | 近鉄奈良線と平城宮跡 | α-8700i | Velvia 100 | 2018 |
4枚目 | 冬の熊野古道大雲取越 | α-7700i | Velvia 100 | 2021 |
リバーサルフィルム(FUJIFILM Velvia 100)で撮影。22mmの画角の広さは圧倒的。かなり近付いても社殿や山の全景が収まり、神社や山の撮影に最適です。リバーサルの鮮やかさを最大限に活かすため、無色透明のレンズフィルター(HAKUBA ワイドMC UVフィルター)を装着。このレンズの広すぎる画角が気に入ってα-8700iを多用するようになり、リバーサルに手を出した次第です。
MINOLTA α-8700i用の広角望遠レンズ。MINOLTA AF 20mm 1:2.8(22)と同じくαマウントで容易に脱着できます。基本的には単焦点レンズで間に合うため、使用しない時はソフトカバー(HAKUBA ルフトデザイン スリムフィット レンズポーチ 90-150)に入れて携行。望遠レンズは重くて嵩張りますから、持って行かない旅のほうが多いです。
撮影場所 |
カメラ |
フィルム |
撮影年 |
|
1枚目 | 冠雪した富士山 | α-8700i | Velvia 100 |
2018 |
2枚目 | 夜の伏見稲荷大社 | α-8700i | Velvia 100 | 2018 |
3枚目 | 宇治の平等院鳳凰堂 | α-8700i | Velvia 100 | 2018 |
4枚目 | 諏訪湖の初島神社 | α-8700i | SUPERIA X-TRA 400 |
2018 |
リバーサルとネガで撮影。広角と望遠を兼ね備えたレンズですが、あまり活躍する機会がありません。
ASAHI PENTAX SPとMINOLTA α-7700iに付属していたレンズ達。M42とαマウントが2本ずつあります。旅先でM42マウントを交換するのは煩わしく、αマウントのレンズも上述の2本で足りるので出番は皆無。スペアレンズとして大切に保管しています。