2022-01-19 改訂
ザック、リュックサックとも。様々な道具を詰めて携行する徒歩旅の基本装備です。
私がザックを使う用途は、歴史探訪を目的とした街歩き・ハイキング・トレッキング・バックパッキング・縦走登山です。徒歩の野宿旅というスタンスであり、登山やキャンプが目的ではありません。「東方巡遊記」と「GEARS」の記事は、登山ではなく徒歩による探訪活動の観点から執筆しています。旅に使うザックの色は視認性を重視。パーソナルカラーとして魔除けの赤色を選びます。
旅の計画を立て、持って行く装備を選び、適度な大きさのザックにパッキングするところから旅は始まります。日帰りの行程では地図とコンパス等のナビゲーション、ボトルまたはハイドレーションパック、行動食、レインウェア、ヘッドランプ、救急セット、その他の小物類を携行。長旅ではテント・シュラフ・マット等の野宿セットを始め、自炊セット、食糧、水を追加します。旅の風景を記録するためにコンデジとフィルムカメラを3台態勢で運用しており、フィルムや三脚等のカメラ用品も必須です。
自転車用バッグをキャリアに積載できるキャンプツーリングとは対照的に、徒歩の旅では全ての装備を自分で背負い、長い長い道のりを歩かなければなりません。自分の体型と旅のスタイルに合ったザックを選ぶのは当然として、ザック内に旅道具を詰め込むパッキングの手法が何よりも重要です。縦走登山に適した軽量コンパクトな装備を選んで効率よくパッキングし、ザック全体の容量と重量を抑えて負担を軽減。雨天対策として、レインカバーに加えてゴミ袋やジッパーバッグ等のパッキング用品で厳重な防水処置を施します。
ザックは旅道具をまとめて収納するのに適しますが、背負った状態で内部にアクセスすることはできません。地図やフィルム、行動食を取り出すためにザックを下ろすのは不便ですから、使用頻度の高いものはショルダーハーネスに装着したポーチや、ウェストバッグ、ショルダーポーチに分けて携行します。この方式は徒歩旅全般において有効。休憩時以外はザックを下ろさずに山や街を歩き回ることができる、最良のスタイルです。ストラップやデイジーチェーンを用いて小物を外付けすることも可能ですが、私は脱落防止の観点から出来るだけザック内に収納する方針です。
徒歩旅の基本装備であるザックは全ての要素が自分好みの仕様でなくてはなりません。足りない機能や使いにくい箇所は、別売のパーツを用いて補完します。小物を吊るすDリング(ITW Nexus GrimLoc)、ハイドレーションパックのチューブを固定するクリップ(Duraflex Hydration Tube Clip)、余ったストラップの端末をまとめるクリップ(Duraflex Quik-Slip Keeper)を取り付けるほか、バックパッキングにおける視認性向上のためバックルに反射テープを貼ります。細部の実用性を大幅に向上することによって、旅先で素早い行動が可能になり、歴史探訪の旅が充実するのです。
アウトドア用のザックは長旅や縦走登山での酷使に耐えうる非常に優れた製品です。用途に応じて各種のザックを揃え、自分のスタイルに基づいて改良すれば最高の 携行手段になります。ザックを背負って歩いた雨の道、険しい山…どのザックにも旅の思い出が詰まっていて、安易に新製品に買い換える気は起こりません。定 期的な整備を欠かすことなく、大切なザックを愛用しています。
MTB用の小型ザック。山歩きのメインザックとして活躍しました。
容量は約8L。側面のジッパーを開放すると10Lに拡張できます。後面のポケットがメインの収納部から独立しており、隙間はヘルメット及びボトルホルダーとして機能する構造。ジャケットやスノーシューも挟めます。下側にテールライト用のホルダー、内部にハイドレーションパックとインフレータ用のポケットを備え、MTBライドや日帰りのサイクリングには最適。レインカバーは付属しないので、HUNTINGBLESS パックカバー 10~20Lを流用しました。
背面システムは"airstripes"。メッシュ生地の薄いパッドが縦に2本配置され、隙間から熱気を逃がせるそうです。このパッドは背中とザックの密着感を軽減する程度の機能しかなく、通気効果は全く感じませんでした。軽装備のライディングを想定した製品のため、ショルダーハーネスとウェストベルトはクッション性が皆無のメッシュ生地。特にショルダーハーネスは装着時に捻れやすく、ザックの重量を軽減する役割を果たしません。
初期の山歩きは最低限の装備しか持たなかった事情から、このザックにハイドレーションパック・行動食・レインウェア・ヘッドランプ・救急セット等を詰めて日帰りの軽快なハイキングを楽しみました。コンパクトな特徴を活かして自転車用サイドバッグ(オーストリッチ S-7)に収納し、キャンプツーリングの途中で登山に使うこともありました。日帰り、短時間の行程には適したサイズです。
後に山歩き用の装備が揃い、フィルムカメラの使用頻度が増えると10Lのザックは容量不足に。薄いショルダーハーネスも負担が大きく、MTBではなくハイキング用に設計された中型ザックが必要になりました。山歩きはdeuter FUTURA 32、街歩きはLowe Alpine Vector 25に切り替え、両方に対応するdeuter Sped lite 26まで導入したことから、Compact EXP 8の出番は無くなりました。
ハイキング用の中型ザック。様々な用途でメインザックとして愛用しています。
容量は約32L。日帰りのハイキングには十分すぎる大きさです。上部と底部からアクセスできる2気室の構造で、ジッパーを開放すれば1気室として使えます。このサイズのザックにはハイドレーションパック・行動食・レインウェア・ヘッドランプ・救急セットや小物類を始め、自炊セットやフィルムカメラが余裕をもって収納できます。天蓋・後面・側面に小分け用のジッパーポケットがあり、アウトドア用ザックとしては最も標準的な仕様です。
FUTURAシリーズの最大の特徴は"aircomfort"と称する背面システムです。腰に横1本、背中に縦2本の鉄製フレームが組み込まれ、ザックの背面が大きく湾曲。ショルダーハーネスとウェストベルトに一体化したメッシュパネルにより、背中とザックが密着しない革新的な構造です。メッシュパネルによる通気効果は素晴らしく、その快適性は他の製品の追随を許しません。真夏の山歩きのような激しく汗をかく環境において、非常に高い効果を発揮します。
厚手のパッドを備えたショルダーハーネスとウェストベルトのおかげでフィット感は良好。特にウェストベルトはホールド感が高く、ザックの重量を腰に分散する効果があります。軽量性は考慮されておらず、鉄製フレームを採用するなど全体的に堅牢性重視の設計。目一杯パッキングして背負った状態なら気になりませんが、何も入れない状態で抱えると結構な重さを感じます。
左右にストックとアックスに対応するホルダーとポトルポケットを備え、三脚を挿して携行することも可能。天蓋のループにショックコード 1/8"のストラップを通し、タオルやジャケットを括り付けると便利です。付属のレインカバーは底部のジッパーポケットに収納できますが、取り出しにくので天蓋の内側に入れます。上述の通気性とフィット感に加え、山歩きに必要な機能は完全に揃っています。
当初はハイキング用だったFUTURA 32。縦走登山のために軽量コンパクトな野宿セットを導入したところ、ロールマットを外付けすれば数日の野宿旅やテント泊に使えることが判明。徒歩の旅はもちろん、パニアバッグを使わない短期間のキャンプツーリングにも転用しました。32Lはテント泊に必要な容量を下回るため、装備を切り詰めた上でウェストバッグまたはフロントバッグと併用するのが前提です。
最近では旅に携行する装備を見直し、パッキングを大幅に合理化。日帰りの行程ならカメラ関係の機材を収納しても容量が余り、32Lでは大きいと感じるようになりました。街歩きの用途はLowe Alpine Vector 25に切り替え。日帰りのハイキングにはもっと軽量なザックを使いたいと思い、FUTURA 32より半分も軽いdeuter Sped lite 26の導入に至りました。
容量は約25L。メインとサブの収納部があり、ハイドレーションパック・行動食・レインウェア・ヘッドランプ・救急セットといった基本装備にフィルムカメラを追加できる程度のサイズ。左右のボトルポケットに三脚を挿して携行することもできます。レインカバーは付属しないので、HUNTINGBLESS パックカバー 10~20Lを流用。後にdeuter Rain Cover Miniに更新しました。
ザック背面は薄いパッドのみ。真夏は汗でビショビショになって使い物になりませんから、汗とおる君を装着しました。この背面パネルは効果が高く、二度とノーマルの状態には戻れないです。ジッパープルの細紐は劣化して切れたため、フィット感とグリップ性に優れるITW Nexus GT Zip Line Alphaに交換しています。あくまでデイパックであり、ウェストベルトとストックホルダーは備えません。ハイキング用のザックとは全くの別物です。
フィルムカメラを1台だけ携行し、軽装備で街を歩いて写真を撮る用途には25Lのデイパックが適任。装備を詰め込んだ状態では重量バランスとフィット感が極端に悪くなりますから、カメラ2台態勢でレンズや三脚まで携行して一日中歩き回るのは流石に無理を感じます。撮影機材と歩行距離が多い場合はハイキング用ザックのほうが快適と感じ、deuter Sped lite 26に切り替えました。
ハイキング用の軽量ザック。写真撮影を兼ねた山歩きと街歩きに対応します。
deuter FUTURA 32とLowe Alpine Vector 25の役割を引き継ぐ目的で導入。容量は約26Lあり、ハイドレーションパック・行動食・レインウェア・ヘッドランプ・救急セットや小物類、フィルムカメラx2台を収納できる大きさです。実用性を失わない程度に軽量スリム化を追求したデザインであり、その重量はFUTURA 32の半分。上部からアクセスする1気室の構造になり、パッキングするには軽量コンパクトな装備が求められます。ザックとして必要な機能は満たしますが、レインカバーは付属しません。これはFUTURA 32から流用します。
左右のジッパーポケットは廃止。ボトルポケットはタイトな作りですが三脚は入ります。コンプレッションストラップが長くなり、左右のストラップを伸ばして繋ぐことで装備を外付けできる仕様。ストックとアックスに対応するホルダーと外付け用のデイジーチェーンもあります。軽量化のため15mm幅のストラップを採用しており、必然的にサイドリリースバックルも小型化。従来のザックに比べるとバックルを掴みにくくなり、開閉の操作性は劣ります。これは20mmのほうが良かったです。
背面システムは"Lite Air"。逆U字型の"Delrin"フレームを内蔵して強度を確保し、凹凸のあるパッドをメッシュ生地で覆った構造。凹凸のおかげで密着感が大きく軽減され、真夏の山歩きに適します。ショルダーハーネスのパッドは薄くなり、ウェストベルトのパッドに至ってはペラペラですが、バランスとフィット感に優れる設計のため、目一杯パッキングした状態でも負担を感じません。そもそも、Speed Liteシリーズを選んだ時点で装備全体の重量は抑えられているはずです。
ウェストベルトのバックルの差し込み感は私の好みに合わなかったので、Duraflex Mojave Side Squeeze 1"に交換しました。メス側のアジャスターはクリップ(Duraflex Quik-Slip Keeper)を用いて固定し、オス側のストラップを左手で引いて調整する仕様に改良。ウェストバッグ(MAGFORCE Humberg 10"x8")またはショルダーポーチ(ISUKA ウルトラライト マウンテンサコッシュ)と併用しやすくなりました。
このザックの特徴の一つであるフロントポケット。適度な伸縮性と水抜き穴を備え、レインウェアやスノーシュー(モンベル スノーポン)の携行に適します。スタッフバッグが付属するクランポンはともかく、スノーシューを剥き出しで挿入すると底面のスパイクで生地が破れる恐れがあるため注意が必要。ザックとスパイクの間に厚紙や樹脂板を挟むと安全です。
フロントポケット上部のフラップはサイドリリースバックルで固定しますが、メス側のバックルの位置が低すぎ、普通にパッキングするとフラップが垂れ下がって不格好です。暫定的な処置として、バックルのオス側をITW Nexus World SR 20 Whistleloc、メス側をWorld SR T-Loc 20x25 Standardに交換し、メス側をドローコードの位置まで上げました。
ハイキングのスピード化を追求したSpeed Lite 26の導入によって、徒歩旅の装備は一段とスリムになりました。快適性と機動性を極限まで高め、カメラを携行した状態で素早く行動し、歴史ある山や街の風景を撮り歩く。その考えを実現させるのに最も理想的なザックに出会えました。細部とパッキングを改良しながら、長く使っていきます。
トレッキング用の中型ザック。トレッキングとバックパッキングに使います。
容量は約45L。1週間程度のトレッキングに対応する大きさです。上部と底部からアクセスできる2気室の構造で、ジッパーを開放すれば1気室として使えます。このサイズのザックにはdeuter FUTURA 32で挙げた基本装備に加え、野宿セット・自炊セット・食糧・水・着替えを収納できます。天蓋と側面にジッパーポケットがあり、アウトドア用ザックとしては一般的な仕様。私にとって初めの中型ザックであり、機能よりも容量とデザインで選びました。実は女性用に設計されたザックです。
左右にストックとアックスに対応するホルダーを備える一方、何故かボトルポケットはありません。水を携行するならショルダーハーネスにボトルポーチを装着すればいいのですが、ザックのポケットを小物やゴミ入れとして使えないのは致命的な欠点です。黒くて目立たないレインカバーが付属するも、後にノーブランドのカバーに交換。現在はイスカ ウルトラライト パックカバー Lを使っています。
背面には樹脂製の補強板が組み込まれ、脱着可能なアルミ製フレームも縦に1本通ります。背面、ショルダーハーネス、ウェストベルトに厚手のパッドを備えており、ザックの重量を和らげる効果は高いです。背面パッドの隙間から熱気を逃がせるそうですが、背中とザックの密着感を軽減する程度の機能しかなく、通気効果は感じません。チェストストラップは絡まりやすかったので交換しました。
初期のトレッキングは自転車旅の野宿セットを流用しており、シュラフとエアマットを詰め込むのが限界。テントは携行できませんでした。後に縦走登山用の軽量コンパクトな装備を導入すると、ロールマットを外付けした上でテントを携行するバックパッキングに使えるようになりました。それでもテント泊の装備が嵩張ることに変わりはなく、フィルムカメラx2台と撮影機材を追加するのは無理です。
現在はテントを携行しない野宿旅に活用。ボトルポーチやロールマットの装着を工夫したり、ザック本体のジッパープルを蛍光反射コード 2.5mmとコードエンド(ITW Nexus Zipcord)に交換するなど、旅の経験を元に実用性を高めています。ザックの中では最古参ですが、トレッキングとバックパッキングでは現役。旅の内容に応じて、大型のMILLET GRAND CAPUCIN 75+と使い分けます。
縦走登山用の大型ザック。テント泊前提の登山とバックパッキングに使います。
容量は約75L。長期間の登山に対応する大きさです。上部と底部からアクセスできる2気室の構造で、ジッパーを開放すれば1気室として使えます。大型ザックならではの抜群の容量を誇り、野宿セットを始めとする全てのアウトドア装備が余裕で入る圧倒的なサイズ感。天蓋・後面・側面にジッパーポケットがあり、どれも中型ザックとは比べ物にならない収納力です。天蓋の取り付け位置を高くすれば、容量を75L以上に拡張できます。
左右にストックとアックスに対応するホルダーと大型のポトルポケットを備え、後面のポケットはヘルメット入れとして機能します。装備を外付けできるコンプレッションストラップもあり、私はバックパッキングにおける視認性向上のため、蛍光反射アームバンドを取り付けることが多いです。付属のレインカバーは嵩張る上に破れてしまい、軽量化を兼ねてISUKA ウルトラライト パックカバー Lに交換。底部のジッパーポケットではなく天蓋の内側に入れます。
背面には樹脂製の補強板が組み込まれ、脱着可能なアルミ製フレームが縦に2本入って強度を確保。重装備で険しい山々を歩くことを前提とした堅牢な作りです。背面とウェストベルトの厚いパッドで装備重量の負担を軽減し、メッシュパネルによって背中と密着しにくい構造。ショルダーハーネスとウェストベルトはザック本体から分離でき、身長や体型に合わせて取り付け位置を調整可能。縦走登山で背負う大型ザックだからこそ、細部のフィット感が重要です。
耐久性重視の設計で縦走登山における実用性は最高レベルですが、不満が無いわけではありません。ショルダーハーネスのパッドは中型ザック並みに薄く、肩への負荷は大きいです。ウェストベルトのバックルは軽量性を狙いすぎた作りで嵌めにくく、頑丈なNIfCO TDSR38に交換。チェストストラップの樹脂製スライダーは6年で加水分解を起こし、登山中に外れました。現在は蛍光反射コード 2.5mm、コードロック(ITW Nexus GTSP Cordloc)、コードエンド(ITW Nexus Zipcord)でストラップの基部を留めています。
パッキングの際はロールマットをザック内に突っ込み、ゴミ袋を入れて防水処置。その中に野宿セットや自炊セットなどの各種装備を詰めていきます。ハイドレーションパックは専用のポケットに入れず、ゴミ袋の口を括った上に置くだけ。ドローコードを縛るとペットボトル 2Lを横向きに置き、ストラップで固定して天蓋を閉めます。これぐらい余裕のあるパッキングが可能になったのは、軽量コンパクトな装備を選んだおかげ。ザックは大型でも、中の装備は少しでもコンパクトにします。
元々は縦走登山専用に買ったGRAND CAPUCIN 75+。装備の軽量化と合理化を進めた結果、フィルムカメラx2台と撮影機材を携行するバックパッキングの役割も加わりました。短期間の野宿旅はMILLET LD ODYSSEE 45、テントを携行する長期間の山歩きは大容量のGRAND CAPUCIN 75+。2つのザックを使い分け、霊山や巡礼道の風景を撮りながら歩きます。
ザックに後付けする樹脂製の背面パネル。Lowe Alpine Vector 25に装着して使います。
真夏にザックを背負って行動すると、ザックと背中の間に熱がこもり、汗でビショビショになります。ザックの背面がメッシュ生地やパッドになっている程度では通気効果を得られないため、deuter FURURA 32のようにメッシュパネルを備えた製品が理想的です。とはいえメッシュパネル採用のザックの種類は限られており、街歩きに用いるシンプルなデイパックにそのような機能は望めません。
そこで登場するのが汗とおる君。ポリプロピレン製のフレームをザックに装着するだけで非常に高い通気性を得られます。2枚のパネルにスキマがあり、背中とザックが密着しない構造。軟質の素材のためフレームを背負っている違和感は無いです。取り付けに使用する紐とコードロックは、ショックコード 1/8"とDuraflex Euro Cord Lockに交換しました。厚いパッドがあるザックにも装着可能ですが、その場合は背負い感が窮屈になります。
背面パネルを備えないデイパックとの相性に優れ、真夏の街歩きや写真撮影の際に高い効果を発揮。通気性と快適性が格段に向上し、二度とノーマルの状態では背負えないと感じるぐらいです。同じコンセプトの製品は他にもあり、後述の人工芝やメッシュ素材で自作する手法も存在します。それは各自で工夫すればいいとして、私は手軽に買える汗とおる君で満足しています。
ホームセンターで買える人工芝。一部の業界では背嚢やアサルトパックの背面パネルとして使います。
軍用のバックパックは堅牢な作りである一方、背面にメッシュの生地やパネルを備えていないものが多く、アウトドア用のザックに比べると快適性は格段に劣ります。私が持っているハイドレーションパックのキャリア(CamelBak ThermoBak 3L)もメッシュ生地を備えません。その代わり、ボディアーマーの背面に装着しやすいようにショルダーストラップを収納できるポケットがあります。
このポケットのサイズに合わせて人工芝をカットして挿入すると、内蔵式の背面パネルに早変わり。汗を吸わず適度な通気性があるため、暑い環境における不快感は大幅に軽減されます。もちろん服とポケットの生地は汗で張り付きますが、人工芝を入れない状態とは比べ物にならないほど快適です。密着感が下がることで、リザーバーの水が体温でぬるくなりにくい利点もあります。
ハイドレーションキャリアに人工芝を挿入するのは応用的な使い方。業界では背嚢に結束バンド リピートタイプ等を用いて取り付けるほうが一般的であり、こちらも高い通気性を発揮します。但し、人工芝を直接背負っている違和感はあり、頑丈な戦闘服を着ていなければ擦れて痛いです。ザックに背面パネルを追加するなら上述の汗とおる君のほうが無難だと思います。
酷暑の環境で人工芝内蔵のハイドレーションキャリアを背負って長期間の作業を行い、ハイドレーションパック自体の有効性とともに人工芝による快適性向上の効果を実証済み。適用できる装備や場面は限られるものの、実用性は高いです。できればそのような環境では作業したくありませんが、必要に迫られた場合はこのキャリアが活躍します。
ザックを雨から守る防水カバーです。雨天行動の際、ザックの生地が濡れると重量が増してしまい、なかなか乾いてくれません。ザック内部の装備はゴミ袋やジッパーバッグ等のパッキング用品で守りますが、ザック本体を濡らさないためのカバーも必要です。雨で視界が悪い状況で使うわけですから、バックパッキングの用途では視認性の高い色が望ましいです。
中型~大型ザックにはレインカバーが付属し、ザックの天蓋や底部に収納ポケットを備える仕様が多いです。一方で小型ザックやデイパックはレインカバーが付属しない場合があり、雨天行動を想定して別途購入しなければなりません。付属のカバーの色が気に入らなかったり、ガサガサする生地だったり、使い込んで破れることもありますので、その時は買い替えの対象になります。
当然ながらレインカバーは雨曝しになります。レインウェアのような防水透湿性は必要ないとして、完全防水であることが不可欠です。新品の状態では雨を弾いても、使い込むうちに撥水性は失われます。レインウェアと同様、防水剤(NIKWAX TX.Direct Spray-On)を塗布して防水性を保ちます。
ノーブランド同然のレインカバー。10~20Lのザックに対応します。
キャンプツーリングの必需品である自転車用フロントバッグ(オーストリッチ F-702)のレインカバーとして導入。バッグに被せてドローコードを絞る構造のため、箱型で14.5Lのフロントバッグにもフィットしました。嵌め込み式のコードロックと2点のフックでハンドル・ステムに固定でき、バッグへのアクセスが容易。底部には大型の水抜き穴を備えます。フロントバッグは真正面から風雨に曝されますが、バタつくことも内部に浸水することもありませんでした。
上述したように、撥水性が落ちても防水剤(NIKWAX TX.Direct Spray-On)を塗布すれば回復します。ツーリングにおける酷使に加えて、レインカバーが付属しなかったdeuter Compact EXP 8、Lowe Alpine Vector 25にも使用。街歩きやハイキングでも役に立つレインカバーでした。流石に10年も使うと内張りが劣化し、ザックに被せるたびに剥離する状態に。軽量コンパクトなdeuter Rain Cover Miniに交替し、引退となりました。
12~22Lのザックに対応するレインカバー。Lowe Alpine Vector 25に使います。
蛍光イエローで視認性に優れ、25Lのデイパックに適したサイズ。上部にはザックのハンドルに掛けるフックとループ、底部には水抜きの穴を備えます。レインカバー本体と収納ケースが一体になっており、折り畳むとコンパクトな状態で携行できます。雨天の街歩きではこれぐらい目立つ色が理想的。防水性だけでなく安全性も高いです。
45~60Lのザックに対応するレインカバーです。縦走登山における軽量化の一環で導入し、MILLET LD ODYSSEE 45、GRAND CAPUCIN 75+に使っています。
中型~大型ザックを背負う縦走登山では少しでも軽い装備が求められますから、かなり軽量で防水性と耐久性を兼ね備えたレインカバーを選びました。大型ザック用にしては軽く、スタッフバッグに詰めた状態は実にコンパクト。ザックに付属するレインカバーと比べると格段に軽量であり、ザック内に収納しても嵩張りません。この軽量コンパクト性はありがたいです。
対応サイズは目安であり、75Lのザックにもフィットします。ザックの大きさに合わせてドローコードを絞り、上部のフックとループをハンドルに掛け、フロントリリースバックル付きのストラップでザックに固定する仕様。風雨がきつい環境でカバーがバタついたり、飛ばされる事態を防ぎます。底部には水抜きの穴を備え、カバー内に吹き込んだ水を排出できます。
ロールマット(Therm-a-Rest RidgeRest SOLite S)を装着したdeuter FUTURA 32に使用。外付け状態では2倍ぐらい大きくなり、付属のレインカバーを被せられません。流石に大型ザック用のレインカバーでは大きすぎますが、ザック本体は確実に雨から保護されます。この用途のために専用のレインカバーを買ったりはせず、使えるものを流用します。
ザックに様々な旅道具を詰め込む方法。雨天対策の防水処置を施す。スタッフバッグで小分けする。重量バランスを考慮する。外付けする。あるいは適当に入れるなど考え方は色々あり、ザックよりも個性が現れる要素だと思います。ここでは大型ザックを用いたパッキング例を紹介。あくまで私のパッキング手法であり、何の参考にもならないことにご留意ください。旅のスタイルは人それぞれです。
2013年12月の「熊野古道トレッキング III」におけるパッキング例。テントを携行しない冬季のバックパッキングであり、1週間+αの行程を想定した装備です。ウェストバッグ(モンベル トレールランバーパック 4)、ショルダーポーチ(サウスフィールド ショルダーポーチ)、大型ザック(MILLET GRAND CAPUCIN 75+)を用意しました。この当時の装備とパッキング手法は自転車旅の流用であり、現在のスタイルとは大きく異なります。
各バッグの内容は上述した通りです。ウェストバッグに小物装備を集約。ショルダーポーチに地図・ガイドブック・筆記具。ザックにレインウェア・野宿セット・自炊セット・食糧・水・着替え・雑多な日用品類をパッキング。ジャケットと救急セットは外付けです。軽量化という発想には至らず、装備重量は合計で20kg以上。一応は重量バランスを考え、ツーリングよりシビアにパッキングしたつもりでしたが、後から見れば無駄が多いです。
徒歩の旅で特に重視するのは雨天対策。野宿セットや着替え等の絶対に濡らしたくないものは、ゴミ袋やジッパーバッグ等のパッキング用品で厳重な防水処置を施します。こういった防水手段は自転車旅の中で発展したものですが、ザックを背負う徒歩旅にも転用。旅の形態がツーリングからバックパッキングに移行するのに伴って、初期の山歩きよりも徹底した防水処置を行うようになりました。
当然ながら、ツーリング用の装備は嵩張るし重すぎます。20kg以上のザックを背負って果てしなく山々を歩きましたが、合理性とは程遠く、体力と気力で無理やり担いでいたのが実情です。重量級のザックでバックパッキングや縦走登山を実施するのは無理があると感じ、軽量コンパクトな装備の導入を決定。その更新には3年を要しました。
2019年4月の「大峯奥駈道トレッキング」におけるパッキング例。テント泊前提の春季の縦走登山であり、6日間の行動を想定した装備です。ショルダーポーチ(ISUKA ウルトラライト マウンテンサコッシュ)を地図・行動食入れに。大型ザック(MILLET GRAND CAPUCIN 75+)をメインザックとして使用。縦走登山に適した装備を導入し、同じザックながら中身の大部分を入れ替えています。
フル装備にも関わらず、装備重量は合計で約18.5kg。4Lの水と1週間分の食糧(4kg)を含まなければ従来より5kg以上も軽くなりました。これまでと同様に防水処置を徹底しながら、小分けをやめて必要最低限のパッキングに改善。スタッフバッグやオーガナイザーは使わずジッパーバッグで簡略化。不要な小物類は一切携行せず、 重複や無駄を省き、細かい削減を重ねて軽量化に繋げました。
大峯をテント泊で歩き通すのは大きな目標であり、上述した軽量コンパクト化は全てこの旅のために行いました。ここまで装備を切り詰めるのは私のスタイルには合わず、常態化するつもりはありません。しかし装備を軽くすることで徒歩旅の機動性を向上できることに気付き、以降のハイキングやバックパッキングは大峯基準で考えるようになりました。大きな転換点です。
2019年8月の「三瓶山トレッキング」におけるパッキング例。テント泊前提の夏季のバックパッキングであり、4日間の行程を想定した装備です。ウェストバッグ(MAGFORCE Humberg 10"x8")に地図とフィルムを集約。大型ザック(MILLET GRAND CAPUCIN 75+)をメインザックとして使用。大峯で確立した軽量パッキングを歴史探訪の旅に適用しつつ、オーバースペック気味の装備に。山歩きと史跡巡りを兼ねた気楽な野宿旅です。
装備重量は合計で約20kg。縦走登山のパッキング内容から水と食糧を減らして、代わりにフィルムカメラと撮影機材を追加しました。私の装備スタイルでこれ以上の極端な軽量化は望めませんが、大峯以前よりも格段に合理化されており、身軽に行動できるようになりました。装備を見直すと旅の自由度が高まり、旅がもっと楽しくなります。今後も装備とパッキングを改善しながら、徒歩の旅を続けます。